汐留税理士事務所

3147302_s

特有の経理「変動所得と平均課税」

汐留税理士事務所の漫画家向けコラム編集者です。
今回は漫画家の皆さま特有の所得計算方法でもある「変動所得と平均課税」と題してお話させていただきます。漫画家の皆さま、また今後活躍される漫画家の皆さまの会計・税務の知識、また節税などのお力になれたらと思っております。

目次

変動所得とは

過去のコラムにてお話しましたが、事業所得又は雑所得のうち一定の所得であり、「平均課税」の対象となる所得の事です。
毎年、所得が大幅に変動することが見込まれるものとして法律により定められているものが該当し、印税と原稿料による収入にかかる所得を主にいいます。物品販売、自費出版にかかる所得は該当しません。

平均課税とは

アシスタントに原稿料としての支払がある場合には、源泉徴収を行ったうえでの支払が必要となります。
そして源泉徴収前の金額の1年間の合計が5万円を超える場合には、1年間の合計金額を記載した支払調書を作成し、税務署へ提出することが必要となります。
この時、税務署提出用に作った支払調書と同じものをアシスタントにも交付している先生方が多いかと思います。

平均課税の適用要件

  • 前年及び前々年において変動所得がある
    ※前年、前々年において平均課税を適用したか否かは問わない
  • 当年の変動所得が総所得金額の20%以上である

平均課税の計算方法

  • 当年の課税総所得金額
  • 平均課税対象金額
    =当年の変動所得-(前年の変動所得+前々年の変動所得)÷2
    ※当年の変動所得が前年、前々年の変動所得の平均を超えている部分
  • 調整所得金額
    ①>②の場合・・・①課税総所得金額-②平均課税対象金額×4/5
    2.①≦②の場合・・・①課税総所得金額×1/5
  • 調整所得金額に対する税額
    =③調整所得金額×超過累進税率による税率及び控除
  • 平均税率
    =④調整所得金額に対する税額÷③調整所得金額(小数点第3位切り捨て)
  • 特別所得金額
    =①課税総所得金額-③調整所得金額
  • 特別所得金額に対する税額
    =⑥特別所得金額×⑤平均税率

その年分の課税総所得金額に対する税額
=④調整所得金額に対する税額+⑦特別所得金額に対する税額
※復興税については省略

平均課税の計算例

上記の計算式は少々複雑で用語もわかりにくいため、具体的な金額をもとに計算例を算出してみます。

①当年の課税総所得金額      10,000,000円(全て変動所得とする)
②前年の変動所得                  3,000,000円
③前々年の変動所得               1,000,000円

以上の金額とした場合

  • 10,000,000円
  • 10,000,000円-(3,000,000円+1,000,000円)÷2=8,000,000円
  • 10,000,000円-8,000,000円×4/5=3,600,000円
  • 3,600,000円×20%-427,500円=292,500円
  • 292,500円÷3,600,000円=08125⇒0.08
  • 10,000,000円-3,600,000円=6,400,000円
  • 6,400,000円×0.08=512,000円
  • 292,500円+512,000円=804,500円

このような計算結果となります。通常の所得税額計算の場合ですと、下記なります。
10,000,000円×33%-1,536,000円=1,764,000円

これらを所得税額比較すると半分以下に抑えることができるという事になります。

Summary

今回は漫画家の皆さま特有の経理手法として、改めて『変動所得』と『平均課税制度』の関係性とメリットについてお話させていただきました。これまで『平均課税制度』の仕組みや『変動所得』とは何かを話しましたが、今回は計算式が複雑かつ制度を利用せずに申告をしてしまう事で享受できたものができなくなってしまうという事にならないように改めてお話させていただきました。制度の適用判断や税額計算などのご相談があればぜひ汐留税理士事務所へお問い合わせください。

Clummn

Related Posts