汐留税理士事務所の漫画家向けコラム編集者です。
今回は漫画家の皆さま特有の所得計算方法でもある「変動所得と平均課税」と題してお話させていただきます。漫画家の皆さま、また今後活躍される漫画家の皆さまの会計・税務の知識、また節税などのお力になれたらと思っております。
過去のコラムにてお話しましたが、事業所得又は雑所得のうち一定の所得であり、「平均課税」の対象となる所得の事です。
毎年、所得が大幅に変動することが見込まれるものとして法律により定められているものが該当し、印税と原稿料による収入にかかる所得を主にいいます。物品販売、自費出版にかかる所得は該当しません。
アシスタントに原稿料としての支払がある場合には、源泉徴収を行ったうえでの支払が必要となります。
そして源泉徴収前の金額の1年間の合計が5万円を超える場合には、1年間の合計金額を記載した支払調書を作成し、税務署へ提出することが必要となります。
この時、税務署提出用に作った支払調書と同じものをアシスタントにも交付している先生方が多いかと思います。
その年分の課税総所得金額に対する税額
=④調整所得金額に対する税額+⑦特別所得金額に対する税額
※復興税については省略
上記の計算式は少々複雑で用語もわかりにくいため、具体的な金額をもとに計算例を算出してみます。
①当年の課税総所得金額 10,000,000円(全て変動所得とする)
②前年の変動所得 3,000,000円
③前々年の変動所得 1,000,000円
以上の金額とした場合
このような計算結果となります。通常の所得税額計算の場合ですと、下記なります。
10,000,000円×33%-1,536,000円=1,764,000円
これらを所得税額比較すると半分以下に抑えることができるという事になります。
今回は漫画家の皆さま特有の経理手法として、改めて『変動所得』と『平均課税制度』の関係性とメリットについてお話させていただきました。これまで『平均課税制度』の仕組みや『変動所得』とは何かを話しましたが、今回は計算式が複雑かつ制度を利用せずに申告をしてしまう事で享受できたものができなくなってしまうという事にならないように改めてお話させていただきました。制度の適用判断や税額計算などのご相談があればぜひ汐留税理士事務所へお問い合わせください。