汐留税理士事務所の納税管理人コラム編集者です。
外交官、海外赴任、海外駐在の方向けに納税管理人とは?税務を代わりにやってくれる人なのか、具体的に何をしてくれるのか、また何を注意すべきかなど解説いたします。
納税管理人の罰則を開設しましたが、今回は実際に起きた納税管理人に関するトラブルを事例と共に紹介します。
次のような場面で問題になります。
1. 届出義務違反
本人が非居住者なのに納税管理人を選任せずに放置した場合、本人に対して「無申告加算税」「延滞税」などが課され、この場合、納税管理人が選任されていないこと自体が問題となり、税務署から強制的に納税手続を求められることもあります。
2. 虚偽申告・不正行為
納税管理人が意図的に虚偽の申告を行った場合、重加算税や刑事罰(所得税法違反)が科される可能性があります。ただし、基本的には納税義務者(非居住者本人)が主体的に責任を負うため、納税管理人が故意に不正を行わない限り直接の罰則は少ないです。
事例:海外赴任者が不動産収入を得ていたが、納税管理人を選任していなかった → 税務署から督促、延滞税を課された。
1. 延滞税(最大年14.6%程度)
・納期限を過ぎてから納税すると、延滞税が日割りで課されます。
・例えば、家賃収入から50万円の所得税が発生していた場合 → 1年遅れで納付すると 数万円単位の延滞税 が加算。
2. 無申告加算税(15〜20%)
・本来の申告期限までに申告しなかった場合に課される。
・税務署から指摘されて申告した場合 → 15%
・悪質と判断された場合 → 20%
・例:税額50万円なら → 7.5〜10万円の追徴
3. 重加算税(35〜40%)の可能性
・意図的に隠したと判断されれば課される。
・通常の不注意なら重加算税までは課されないが、海外居住を隠していた場合などは対象。
4. 督促・差押えリスク
・税務署は日本国内にある不動産や銀行口座を差し押さえる権限を持つ。
・実際に不動産からの賃料を直接差し押さえられた事例もあります。
• 本来の税額:50万円
• 無申告加算税:7.5万円
• 延滞税:約5万円(1年遅延想定)
合計 62.5万円(+25%超) に膨らむケースも珍しくありません。
納税管理人を選ばなかったことで「税額+20〜30%」の負担増になる可能性が高く、さらに悪質と判断されれば 40%以上の加算税+差押え にまで発展します。
実際「選任忘れ」や「連絡不十分」が原因で延滞税や加算税につながるケースが多い為、選任や運用は税理士など専門家に依頼するのが安全です。