―― 感覚経営から“数字で決める経営”へ
売上が拡大し、事業が多角化してくると、
経営者の直感だけでは全体を把握できなくなります。
・どの事業が本当に儲かっているのか
・どこに資金を投下すべきか
・どの事業をやめるべきか
これを明確にするのが 部門別損益管理(セグメント管理) です。
―― 分け方を間違えると意味がない
まず重要なのは「何で区切るか」です。
■ 主な分け方
・事業別
・商品/サービス別
・エリア別
・顧客層別
・チャネル別(EC/店舗など)
正解は一つではありません。
ポイントは、
経営判断に使える単位で分けること
単に部署ごとに分けるだけでは、
実態が見えないケースもあります。
■ 固定費の配賦がカギ
部門別管理で最も難しいのは、固定費の扱いです。
・本社家賃
・共通人件費
・広告費
・管理部コスト
これをどう配賦するかで、
事業の見え方が大きく変わります。
実務上は、
① 直接費はそのまま計上
② 共通費は合理的基準で按分
③ 最終的に「貢献利益」も確認
という3段階で見るのが有効です。
―― 感情ではなく基準で決める
多くの企業が失敗する理由は、
撤退基準が曖昧
だからです。
■ 代表的な判断指標
・粗利率
・営業利益率
・投下資本利益率(ROI)
・回収期間
・固定費カバー率
例えば:
・2期連続で営業赤字
・粗利率20%未満
・回収期間36ヶ月超
など、事前に基準を設定します。
重要なのは、
悪くなってから考えるのではなく
最初からルールを決めておくこと
です。
―― 利益=正義ではない
ここが最も誤解されやすいポイントです。
黒字であっても、撤退すべき事業は存在します。
■ ケース① 資本効率が悪い
営業利益は出ている。
しかし、
・在庫過多
・売掛金長期化
・設備投資過大
結果、キャッシュを生まない。
これは“資金を縛る事業”です。
■ ケース② 経営資源を奪う
・人材を大量に消費
・経営者の時間を奪う
・他の高収益事業に投資できない
機会損失は決算書に出ません。
■ ケース③ ブランド・リスクを抱える
・クレーム多発
・法規制リスク
・低価格競争によるブランド毀損
短期黒字でも、
長期価値を毀損する可能性があります。
部門別管理は“攻め”のための道具
部門別損益管理の目的は、
✔ 赤字事業の発見
✔ 撤退判断
✔ 高収益分野への集中投資
です。
売上拡大期こそ、
「何を伸ばすか」と同時に
「何をやめるか」を決める
ことが重要になります。
経営とは、資源配分の意思決定です。
部門別管理を導入することで、
・感覚経営からの脱却
・意思決定スピード向上
・資本効率の改善
が実現します。
汐留税理士事務所では、
管理会計設計から部門別損益レポート構築まで、
経営判断に使える数字の整備を支援しています。