バックオフィスは人数を増やせばいいのか？
“人を増やす発想”が会社を弱くする理由”
バックオフィス（経理・総務・人事・労務・法務など）が忙しくなると、多くの企業がまず検討するのが 「人を増やす」 という選択肢です。
しかし、本当に“人数を増やす”ことで問題は解決するのでしょうか？
結論から言えば、バックオフィスは人数を増やしても解決しないことの方が圧倒的に多いのです。
本記事では、その理由と、代わりに取るべき最適解について整理します。
目次
人を増やすと、むしろ仕事が増える
人材を追加した直後のバックオフィスでは、ほぼ必ず次の現象が起こります。
- 教える時間・フォロー時間が増える
- 手続きが属人化しやすくなる
- 「社内調整」の業務が増える
- 情報共有のコストが跳ね上がる
特に中小企業では、教育の仕組みが整っていないため、
誰かが必ず“教える役”になり、その人の負担が数ヶ月増え続けます。
結果として、
人を増やしたのに、むしろ忙しくなった…
という矛盾が起きます。
バックオフィスは「量」ではなく「構造」の問題
バックオフィスが回らない会社の99％は、
“人が足りない”のではなく、“仕組みが悪い” のが原因です。
具体的には、
- 紙・Excel・メールで処理が分断
- 社長決裁がいくつも溜まっている
- 二重入力・転記ミスが頻発
- 過去のルールがそのまま残っている
- 人ごとに仕事のやり方が違う
これらは、**人を増やす前に直すべき「構造の問題」**です。
構造が悪いまま人を増やすと、
その悪い構造がさらに複雑化し、永久に業務が最適化されません。
人件費が固定化し、経営の柔軟性が失われる
バックオフィスを人海戦術で運営すると、人件費が固定費として重くのしかかります。
- 売上が落ちても給料は固定
- 業務量は季節波動があるのに人件費は一定
- 採用→教育→退職のサイクルが続き“消耗戦”に
結果として、
経営のブレーキになるほど固定費が膨らむリスクがあります。
実際は「人を増やさずに解決できる業務」が多すぎる
バックオフィス業務は、
仕組み化・自動化・外部化によって**半分以上は“人の手を離せる”**のが実情です。
■ 自動化できる業務
- 会計連携（銀行明細・カード明細の自動取得）
- 勤怠集計
- 給与計算
- 電子契約
- ワークフロー承認
■ 外部化できる業務
- 経理代行
- 給与計算
- 社保手続き
- 労務相談
- 契約書チェック
- 登記・許認可
つまり、人を増やす前に“正しく減らす方法”があるのです。
- 本当に増やすべきは、人ではなく「仕組み」
忙しさを根本から解決したいなら、
増やすべきものは「人数」ではなく「再現性」です。
再現性を生む3つの方法
- 標準化（同じ作業を同じ手順で）
- 自動化（人が介在しない処理に）
- 外部化（専門家・外部の仕組みを利用）
こうすることで、人依存のバックオフィスから脱却できます。
Summary
バックオフィスに必要なのは人手ではなく“構造改革”**
バックオフィスの課題は、
人を増やしても本質的には解決しません。
むしろ、
- 忙しさが増える
- 属人化が進む
- 人件費が膨らむ
- 組織が複雑になる
という悪循環に陥る危険さえあります。
本当に必要なのは、
「仕組み」と「再現性」を作ること。
そして、仕組みが整えば、
バックオフィスは少人数で、むしろ“高速でまわる”組織になります。
