―― 成長を加速させるか、資金を圧迫するかの分かれ道
売上が伸び始めると、多くの企業は採用を加速させます。
・営業を増やす
・開発を強化する
・バックオフィスを整える
組織拡大は成長の証です。
しかし同時に、
人件費は最も大きく、最も下げにくい固定費
でもあります。
採用戦略を誤ると、
成長が止まった瞬間に財務を圧迫します。
―― 売上は変動、人件費は固定
人件費の怖さは「毎月必ず発生する」ことです。
例:
年商3億円
人件費率25% → 7,500万円
ここで売上が20%減少すると、
年商2.4億円
人件費7,500万円は変わらない
→ 利益が一気に圧縮されます。
■ よくある失敗パターン
・将来売上を前提に先行採用
・評価制度未整備のまま増員
・採用後の生産性未測定
結果、
売上成長率 < 人件費増加率
となり、キャッシュが減少します。
■ 安全な目安
業種にもよりますが、
・人件費増加率 ≦ 粗利成長率
・人件費率は業界平均内
このバランスを維持することが重要です。
―― 成果とコストを一致させる
採用拡大期に必要なのは、
「人数管理」ではなく「成果管理」です。
評価制度が財務と連動していない場合、
・成果と報酬が不一致
・昇給が積み上がる
・固定費が肥大化
します。
■ 財務と連動させるポイント
① 部門別利益と賞与原資を連動
② KPI達成率と報酬設計を連動
③ 固定給と変動給のバランス設計
例えば、
・基本給は業界標準
・インセンティブは粗利連動
・賞与は営業利益連動
とすることで、
会社の業績と人件費が自然に連動
します。
―― “感覚評価”からの脱却
人が増えるほど、
一人あたりの生産性は見えにくくなります。
重要なのは、
人数ではなく「付加価値」を見ること
■ 基本指標
・一人あたり粗利
・一人あたり営業利益
・人件費回収期間
・売上/従業員数
例えば:
粗利2億円
従業員40名
→ 一人あたり粗利500万円
この数字が下がっているなら、
採用ペースが速すぎる可能性があります。
■ 部門別に見る
営業:
・1人あたり受注額
・LTV/営業人件費
開発:
・プロジェクト利益率
・納期遵守率
管理部:
・間接部門コスト比率
数値化できない部署も、
最低限のKPI設計は必要です。
人件費は“戦略的固定費”である
採用拡大期に重要なのは、
✔ 粗利成長とのバランス
✔ 財務と連動した評価制度
✔ 一人あたり生産性の可視化
人件費は単なるコストではありません。
正しく設計すれば、最大の成長エンジン
誤れば、最大のリスク
です。
採用を増やす前に、
「増えた人件費を回収できる構造になっているか」
この問いを持つことが、持続的成長につながります。
汐留税理士事務所では、
部門別損益管理・人件費分析・評価制度設計支援まで、
財務と連動した組織設計をサポートしています。